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脊柱靱帯骨化症up-to-date Ⅴ.手術療法
1.頚椎後縦靱帯骨化症
頚椎後縦靱帯骨化症に対する手術療法
-――最新のエビデンスから
Surgical strategy for ossification of posterior longitudinal ligament
名越 慈人
1
N. Nagoshi
1
1慶應義塾大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Keio University School of Medicine, Tokyo
キーワード:
OPLL
,
multicenter study
,
fusion surgery
Keyword:
OPLL
,
multicenter study
,
fusion surgery
pp.68-72
発行日 2026年4月25日
Published Date 2026/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei89_68
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は じ め に
後縦靱帯骨化症(ossification of posterior longitudinal ligament:OPLL)は,脊椎後縦靱帯に骨組織が異常に形成されることで脊髄や神経根を圧迫し,多彩な神経症状を引き起こす疾患である.発症部位としては頚椎がもっとも多いものの,胸椎や腰椎に生じる場合もあり,病変が進行すると回復困難な神経障害へといたることがある.特に東アジアにおいて高頻度でみられ,わが国での有病率は2.0~4.0%とされている1).
本疾患は,加齢に伴う変化だけでなく,遺伝的素因や肥満・糖尿病・機械的ストレスといった環境因子が複雑に関与して発症する,多因子性の病態であることが知られている.さらに近年では,OPLL患者の多くで,前縦靱帯,黄色靱帯,項靱帯といった脊柱周囲のほかの靱帯にも骨化が認められることが明らかになっており,脊椎全体をとらえた包括的な評価の重要性が指摘されている2).
自然経過としてOPLLは進行しやすく,症状が悪化すると患者の生活機能に深刻な影響を及ぼす.脊髄の圧迫が高度になると,四肢の筋力低下やしびれ,巧緻運動障害,さらには歩行困難へといたる可能性があり,日常生活動作にも大きな制限が生じる.治療としては,圧迫された脊髄を除圧するための手術療法が選択されることが一般的である.しかし,術後であっても骨化が再度進行する例は少なくなく,またリハビリテーションの推進や疼痛管理など,長期的な経過観察が不可欠である.

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