Japanese
English
成人股関節疾患の診断と治療 Ⅱ.治療
2.関節温存手術
2)関節鏡視下手術
関節鏡視下手術
Hip arthroscopy
松下 洋平
1
,
斎藤 充
2
Y. Matsushita
1
,
M. Saito
2
1神奈川リハビリテーション病院整形外科
2東京慈恵会医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Kanagawa Rehabilitation Hospital, Atsugi
キーワード:
arthroscopic hip sugery
,
femoroacetabular impingement
,
hip labral tear
Keyword:
arthroscopic hip sugery
,
femoroacetabular impingement
,
hip labral tear
pp.61-66
発行日 2025年10月20日
Published Date 2025/10/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei88_61
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はじめに:鏡視下股関節鏡手術の歴史とわが国の現状
鏡視下股関節鏡手術(股関節鏡手術)の世界初の臨床例は1939年に本邦の高木によって報告されたが,その後しばらくは大きな発展はなかった.21世紀に入ると,Ganzら1)によって大腿骨寛骨臼インピンジメント(femoroacetabular impingement syndrome:FAIS)の基礎となる概念が提唱されたことなどから,FAISへの治療の一環として関節唇損傷に対する鏡視下関節唇縫合などが欧米を中心に盛んに行われるようになる2).一方で,本邦では欧米ほど急増していない現状がある.本邦では,欧米に比べて寛骨臼形成不全に起因するjoint instabilityが原因の股関節唇損傷の症例が少なくない.このような症例に不適切に股関節鏡手術を選択すると非常に不良な経過をたどる場合があるため3),股関節鏡手術に対してネガティブなイメージをもつ股関節外科医も少なくなく,飛躍的に普及することはなかったと推察する.このような状況を打開すべく,日本股関節学会では適切な診断と確実な手術手技の啓蒙のために,股関節鏡技術認定医制度と日本股関節鏡レジストリーを設立した.

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