特集 変形性股関節症とメカニカルストレス
Femoroacetabular impingementに対する評価と治療
小野 志操
1
Shiso Ono
1
1京都下鴨病院理学療法部
キーワード:
femoroacetabular impingement
,
股関節唇損傷
,
股関節不安定性
Keyword:
femoroacetabular impingement
,
股関節唇損傷
,
股関節不安定性
pp.157-167
発行日 2019年2月15日
Published Date 2019/2/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1551201453
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はじめに
欧米では,変形性股関節症はそのほとんどが一次性変形性股関節症と診断されてきた.しかし,近年大腿骨や寛骨臼の形態異常が原因とも報告されるようになっている1).なかでもfemoroacetabular impingement(FAI)による股関節唇損傷が注目されている.FAIは2003年にGanz2)によりその概念が提唱されて以降,注目される病態となっている.骨の形態的異常を背景として,股関節唇と関節軟骨の損傷が発生している病態であることから,FAIの診断には画像所見による骨形態異常の確認が必須である.また,治療においては股関節鏡を用いた臼蓋前縁のrim recessionやrim trimming(臼蓋前縁を削る手法)を伴う股関節唇修復術や,その後にcam osteochondroplasty[大腿骨頭と頸部の移行部(以下,head-neck junction)を削る手法]を行う手術療法が選択されることも少なくない(図1).本邦においてもFAIに対する関節鏡視下手術は年々増加傾向にある.理学療法を行っていくうえでは病歴や理学所見および症状などを総合的に把握しておく必要がある.本稿ではFAIに特徴的な臨床症状と病態の解釈および筆者が行っている運動療法について解説する.
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