Orthopedic Surgery Volume 1, Issue 87 （April 2025）

別冊整形外科 1巻87号（2025年4月発行）

Japanese English

脊柱変形up-to-date Ⅱ．学童期側弯症

5．神経筋原性側弯症

脳性麻痺に伴う脊柱変形に対する治療 Treatment of scoliosis with cerebral palsy 浦山大紀 ¹ , 野原亜也斗 ² , 小野貴司 ² , 谷口優樹 ³ D. Urayama ¹ , A. Nohara ² , T. Ono ² , Y. Taniguchi ³ ¹東京大学整形外科 ²JCHO東京新宿メディカルセンター脊椎脊髄外科 ³東京大学整形外科/手術部 ¹Dept. of Orthop. Surg., Graduate School of Medicine, The University of Tokyo, Tokyo キーワード： cerebral palsy , scoliosis , surgical treatment , complication , pelvic obliquity Keyword: cerebral palsy , scoliosis , surgical treatment , complication , pelvic obliquity pp.62-68

発行日 2025年4月20日 Published Date 2025/4/20

DOI https://doi.org/10.15106/j_besei87_62

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はじめに

　脳性麻痺に伴う脊柱変形は，合併症率の高さなどから手術が敬遠されてきた背景があり，多くの患児が側弯を放置したまま成人を迎えてしまっている．近年の医療技術の進歩により重症心身障害児の寿命は延びる一方で，側弯による呼吸機能障害や疼痛，日常生活動作（ADL）の制限といったさまざまな問題が深刻化している．一方で側弯症の手術成績の向上もみられ，合併症率が減少する中，治療の選択肢として手術の重要性が再評価されつつある．

　本稿では，脳性麻痺に伴う脊柱変形治療の現状と課題について考察し，その治療戦略の展望を示す．