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は じ め に
思春期特発性側弯症(adolescent idiopathic scoliosis:AIS)は冠状面,矢状面,横断面における三次元の脊柱変形である.近年は,AISに対する矯正方法として,各椎体に後方から挿入した椎弓根スクリュー(pedicle screw:PS)にロッドを介してなんらかの矯正力をかけるsegmental PS法が主流である1~4).その中でもrod rotation法は,側弯変形に対する矯正に優れ,従来はもっとも一般的なAIS矯正手技であった5).しかし,rod rotation法の未解決な問題として胸椎後弯を形成しにくいという課題があり,特に低後弯AISではその傾向が顕著である2,4,6).また,本法では側弯頂椎がそのまま後弯頂椎となるので,症例によっては非生理的な胸椎後弯を形成してしまうこともある7).
2008年にVallespirら8)により報告されたvertebral coplanar alignment technique(VCA)は,凸側に挿入したPSを専用デバイスで同一平面上に配列させることにより,椎体軸を同一平面にそろえて三次元の変形矯正を行う方法である.既存の矯正方法はロッドを介してPSに矯正力をかけるが,VCAの特徴はこのロッド設置による矯正の前段階で,おおまかな変形矯正をなしうる点にある.凸側でのVCAによる矯正の後で,凹側に挿入したPSに対してロッドをアプライすることにより,さまざまな既存の手技で段階的な追加矯正が可能である.さらに,VCAの最大の強みは生理的後弯形成力にあると考える.VCAの矢状面における矯正では,後弯頂椎の高位をある程度コントロールできるため理想的な胸椎のshapeを形成しやすい.特に低後弯AISで胸椎が前弯化しているような症例では,VCAはこれまでの矯正方法ではみられなかった威力を発揮する印象がある.
本稿では,VCAの手術手技を紹介し,これまでVCAを施行し2年以上経過したAIS例の治療成績,特に低後弯AISに対するVCAの生理的後弯形成における有用性について述べる.

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