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は じ め に
現代の脊椎脊髄手術において,脊椎インストゥルメンテーションは不可欠である.その中でも椎弓根スクリュー(pedicle screw:PS)は力学的な固定性が強く,変形矯正を含めた変性疾患だけでなく,腫瘍や外傷などに対する脊椎固定術において非常に強力なアンカーである.しかし,不適切なPS設置は固定性の低下のみならず,神経組織の損傷を引き起こす可能性がある1,2).従来,PS設置には透視装置が用いられてきたが,computer-assisted image guidance system(IGS),いわゆるナビゲーションシステムの登場によりその設置精度は飛躍的に向上した3,4).
近年,脊椎手術支援ロボット(robotic guidance system:RGS)が登場した.ナビゲーションシステムは骨組織と器械の位置関係をモニター上に示すことで視覚的にナビゲートするのに対し,RGSは計画したPSの軌道(trajectory)をrobotic unitに取り付けられたドリルガイドをとおして直接術野に提示することでPS設置をサポートする5).現在,本邦ではExcelsius GPS(グローバスメディカル社),Mazor X(メドトロニック社),Cirq(ブレインラボ社)の3種のRGSが認可されており,どの機種も計画したtrajectoryを直接術野に提示する空間的ナビゲーションのコンセプトは同じである6).これまでにRGSの臨床成績は多数報告されており,胸腰椎においてはいずれのRGSも高精度のPS設置が可能であるとする研究が多い7,8).
頚椎の固定術においても椎弓根スクリュー(cervical PS:CPS)は非常に有用なアンカーである.しかし胸腰椎と比して,頚椎は椎弓根が細く,椎体の可動性が大きく,CPSの設置は技術的にむずかしい.さらに,不適切な設置は椎骨動脈(vertebral artery:VA)損傷により重篤な合併症を引き起こす可能性があり,CPSの設置にはより高い精度が求められる9~11).
透視装置を用いたCPSの設置精度は56.5~87.7%と報告されているが11~13),IGSはおおむね95%以上と報告されており14,15),CPS設置において標準的な手術支援機器として本邦でも普及しつつある.一方で,RGSを用いたCPS設置精度についての報告はまだ少ないため,RGSのCPS設置精度については不明な点が多く,その有用性は未知な部分が多い.
当科では,2022年3月に手術支援ロボットCirqを導入し,CPS設置にも使用している16).本稿では,Cirqを使用したCPS設置の実際を紹介するとともに,その設置精度を検討する.

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