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はじめに
椎弓根螺子(pedicle screw:PS)刺入のためのミニロボット(robotic guidance system:RGS)は,2004年に初めて報告された20).RGSは従来のimage guidance system(IGS)とはまったく異なるコンセプトをもっている.IGSはモニターの仮想画像上で手術器具の3次元的な位置関係を示すことによってPS刺入をナビゲートする.それに対してRGSでは,患者の骨組織にプラットフォームを取りつけ,その上に設置したミニロボットが術前に計画したPS軌道を付属するアームとドリルガイドを通じて提示し,術者はそれに従ってPSのパイロットホールを作製する.車のナビゲーションにたとえると,IGSは現在地を地図上にリアルタイムに表示することによってドライバーをナビゲートするようなものであり,ドライバーはその情報を参考に最適な経路を考えながら目的地を目指す.一方でRGSは,出発前に目的地までの経路を指定すると,ハンドルワークはコントロールされ,ドライバーはアクセルとブレーキを踏み分けるだけで目的地に到達することができる,と表現できるであろう.
この研究に用いたRenaissance(Mazor Robotics Ltd., Caesarea,Israel)は,欧米ではすでに臨床導入されており,高いPS刺入精度が報告されている5,7〜10,12〜15).しかし,これらの臨床研究ではPS刺入精度は椎弓根の穿破の程度で評価されている.RGSはその特性上,PS刺入精度の評価は椎弓根穿破の程度だけでなく,実際の刺入軌道が術前計画した刺入軌道に比してどの程度逸脱しているかで評価されるべきである.しかし,その逸脱の程度を体系的に調査した研究はない.
今回,RGSによるPS刺入精度について,術前計画した刺入軌道と実際の刺入軌道とを比較し,検討したので報告する4).
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