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は じ め に
腰部脊柱管狭窄症の手術療法には,内視鏡による限局した除圧術から広範囲固定術まで多種多様な方法が混在している.下肢痛や間欠性跛行が主訴の場合,除圧術は安定した臨床成績をもたらすが,椎間不安定性,すべり症,側弯や後弯などの脊柱変形を伴うようになると固定術が選択される機会が多くなり,病態に応じた術式選択が重要となる.
腰部脊柱管狭窄症患者は腰を反らすと脊柱管が狭くなるために前屈位をとる傾向があり,加齢による椎間板変性や側弯,後弯などの脊柱変形,体幹筋量の低下を伴うと,脊椎アライメント不良になりやすい.われわれは過去に,腰椎除圧術の臨床成績をsagittal vertical axis(SVA)が50mm以上の群と50mm未満の群に分けて比較し,術後2年時の日本整形外科学会腰痛疾患治療成績判定基準(JOAスコア)に有意差はなかったが,腰痛のvisual analogue scale(VAS)値が50mm以上群で有意に高いことや1),除圧術であっても術後1年時の評価で脊椎アライメントが改善していること,pelvic incidence(PI)-lumbar lordosis(LL)が大きい症例や罹病期間が短い症例で脊椎アライメントが改善されやすいことを報告した2).除圧術を行うだけで脊椎アライメントが改善することは,これまでにいくつか報告されている3~7).脊椎アライメント異常まで腰部脊柱管狭窄症の手術療法に含めるべきか否かについては今後も議論が必要であるが,除圧術の限界を知ること,具体的には「除圧術後の脊椎アライメントの自然矯正」や「脊椎アライメント不良が除圧術の臨床成績に与える影響」について理解することが,この問題の解決の糸口につながるのではないかと考える.
そこでわれわれは,後方要素を可能な限り温存した低侵襲腰椎除圧術(片側進入両側除圧術)の術後5年間の脊椎アライメントの推移と臨床成績を調査し,両者の関連を解析したので報告する.

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