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腰椎前弯減少は後方除圧術後の症候性硬膜外血腫発生に影響する
Impact of lumbar hypolordosis on the incidence of symptomatic postoperative spinal epidural hematoma after decompression surgery for lumbar spinal canal stenosis
藤田 順之
1
N. Fujita
1
1慶應義塾大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., School of Medicine, Keio University, Tokyo
キーワード:
symptomatic postoperative spinal epidural hematoma
,
decompression surgery
,
LSS
,
lumbar hypolordosis
Keyword:
symptomatic postoperative spinal epidural hematoma
,
decompression surgery
,
LSS
,
lumbar hypolordosis
pp.917-919
発行日 2019年7月1日
Published Date 2019/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei70_917
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【要 旨】
目 的:本研究の目的は,腰部脊柱管狭窄症に対する後方除圧術術後の症候性硬膜外血腫発生の危険因子を,X線パラメータを含めて同定することである.
対象および方法:腰部脊柱管狭窄症に対して後方除圧術が行われた1,007例に対して後ろ向きに検討した.臨床症状とMRI所見より,35例を症候性術後硬膜外血腫とし,それぞれの症例に対して年齢と性別をあわせて,124例のコントロール(対照群)を選別した.
結 果:対照群と比較して,術後硬膜外血腫群では,術前の収縮期および拡張期血圧が有意に高く,除圧椎間数も有意に多かった.X線パラメータでは,lumbar lordosis(LL)[硬膜外血腫群24.8°±14.6°,対照群34.8°±14.5°],pelvic tilt(PT)[25.1°±11.7°vs. 20.8°±8.4°],sacral slope(SS)[23.4°±9.4°vs. 27.6°±8.3°],pelvic incidence minus lumbar lordosis(PI−LL)[23.7°±15.0°vs. 13.7°±14.6°]で,有意差があった.多変量解析では,2椎間以上の除圧椎間数,25°未満のLLが症候性術後硬膜外血腫発生に有意に相関していた.
結 論:多椎間除圧と腰椎前弯減少が,腰部脊柱管狭窄症の後方除圧術術後の症候性硬膜外血腫発生の危険因子であることが示唆された.これらに該当する腰部脊柱管狭窄症患者の術後経過に対しては,より注意深く観察する必要がある.
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