Japanese
English
小児整形外科up-to-date Ⅰ.総論
2.画像評価
単純性股関節炎と化膿性股関節炎の鑑別は超音波検査で可能か
Is it possible to differentiate between transient synovitis and pyogenic arthritis of the hip through ultrasonography?
都丸 洋平
1
Y. Tomaru
1
1千葉こどもとおとなの整形外科
1Chiba Child & Adult Orthopaedic Clinic, Chiba
キーワード:
transient synovitis of the hip
,
pyogenic arthritis
,
ultrasound
Keyword:
transient synovitis of the hip
,
pyogenic arthritis
,
ultrasound
pp.36-40
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei85_36
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は じ め に
単純性股関節炎は小児の股関節痛の原因としてもっとも一般的なものである.英語では “transient synovitis of the hip” と呼ばれ,一過性で自然改善する股関節の滑膜炎である.1892年にはじめてその病態が報告され,1951年にはじめて “transient synovitis of the hip” という用語が使用された1,2).1~13歳ごろにみられ,6歳が発症のピークである.発症率は年0.2%で,生涯罹患率は3%程度であり,一度罹患した患児の再発率は年4%である.男女比は2:1で男児に多い3).外傷,過活動,ウイルス感染症などが原因と考えられているが,はっきりとした原因は不明である4~7).
単純性股関節炎は予後良好で,経過観察のみでよい疾患ではあるが,大腿骨頭すべり症,Perthes病や化膿性股関節炎などの他股関節疾患との鑑別が問題となることがある.特に化膿性股関節炎は緊急で加療を要する病態であり,なおかつ単純X線検査で鑑別がむずかしいため臨床上問題となることがある.治療開始遅延を防ぐために,早期に診断をつけることが重要である.本報告の目的は,年齢,性別,発熱の有無,超音波検査から単純性股関節炎と化膿性股関節炎の鑑別が可能かどうか検討することである.
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