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小児整形外科up-to-date Ⅰ.総論
1.検診
北海道における野球肘検診
-――新型コロナウイルス感染症(COVID-19)流行前後の比較
Baseball elbow screening in Hokkaido:comparison before and after COVID-19 pandemic
池 翔太
1
,
門間 太輔
2
,
岩崎 倫政
1
S. Ike
1
,
D. Momma
2
,
N. Iasaki
1
1北海道大学整形外科
2北海道大学病院スポーツ医学診療センター
1Dept. of Orthop. Surg., Hokkaido University, Sapporo
キーワード:
OCD
,
baseball elbow
,
elbow US
Keyword:
OCD
,
baseball elbow
,
elbow US
pp.19-22
発行日 2024年4月25日
Published Date 2024/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei85_19
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は じ め に
上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(osteochondritis dissecans:OCD)は発育期の野球選手に好発し,2~3%の野球選手に発生すると報告されている1~3).OCDは適切な介入がなされない場合,進行をきたす可能性を有する病変であり,野球選手においては選手寿命に影響する重篤な疾患となりうる4).しかしながら,OCDの自覚症状として初期には疼痛を認めないことが多く,進行期になってはじめて肘関節外側部痛や可動域制限などの症状を訴えることが多いため,早期発見,早期治療,重症化の予防が重要である.
OCD早期発見のための低侵襲検査としては,超音波診断装置(以下,エコー)の有用性が報告されている5,6)(図1).単純X線像で病期の分類が可能であり,CTでは病変の三次元的な部位の評価に優れ,MRIで不安定性の評価が行われている7,8)(図2).本邦においてOCDの早期発見のための啓発活動が普及し,現在では学童期野球選手に対するエコーによる野球肘検診が全国的に行われている3).北海道でも2010年から大規模な検診が始まり,徐々に規模が拡大され,検診受診人数は年々増加傾向にあった.しかし,2020年ごろからの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)の流行により,学童野球の活動が自粛され,大規模な野球肘検診の開催も困難となった.
その中でわれわれは,COVID-19の流行が落ちついている時期に参加人数を制限しながらも,検診日程や検診地域を増やすことで野球肘検診の活動を継続してきた.本研究の目的は,COVID-19流行前後の野球肘検診受診者のOCD罹患率の変化を比較・検討することである.
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