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連載 卒後研修講座
上肢軟骨損傷に対する治療と展望
-――上腕骨小頭離断性骨軟骨炎を中心に
Treatment and future direction for cartilage injury in upper extremity
門間 太輔
1
,
岩崎 倫政
2
D. Momma
1
,
N. Iwasaki
2
1北海道大学病院スポーツ医学診療センター
2北海道大学大学院整形外科
1Center for Sports Medicine, Hokkaido University, Sapporo
キーワード:
cartilage injury
,
repair
,
OCD
Keyword:
cartilage injury
,
repair
,
OCD
pp.1409-1413
発行日 2020年12月1日
Published Date 2020/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/j_seikei71_1409
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は じ め に
上肢軟骨損傷の代表的な疾患として,上腕骨小頭離断性骨軟骨炎(肘OCD)があげられる.本邦では広く野球が普及していることもあり,肘OCDに関する治療報告は多く,その成績はおおむね良好であるが,いまだに解決されていない点も多い.
硝子軟骨で覆われる関節軟骨は,自己再生能に乏しいため,一度損傷を受けると硝子軟骨での修復はむずかしい.そのため,硝子軟骨による関節面の再建法として骨軟骨柱移植術が行われ,良好な成績が報告されている.しかしながら,骨軟骨柱移植術の最大の問題点は健常自家組織に対する侵襲が避けられないということである.そこで健常自家組織を用いない,組織工学や再生医療の手法を用いた新しい再建法が試みられている.
本稿では臨床上治療に難渋する症例がある肘OCDについて,現在行われている治療と今後の展望に関し詳述する.
© Nankodo Co., Ltd., 2020