Japanese
English
バイオ時代におけるリウマチ性疾患の診療 Ⅳ.手術的治療
1.上肢
リウマチ手に対する人工指中手指節/近位指節間関節の歴史と現況
History and current status of finger metacarpo phalangeal/proximal interphalangeal joint replacement for rheumatoid hands
石川 肇
1
H. Ishikawa
1
1新潟県立リウマチセンターリウマチ科
1Dept. of Rheumatol., Niigata Rheumatic Center, Shibata
キーワード:
finger joint
,
replacement
,
implant
,
RA
Keyword:
finger joint
,
replacement
,
implant
,
RA
pp.91-99
発行日 2023年10月25日
Published Date 2023/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei84_91
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は じ め に
近年,関節リウマチ(RA)の薬物治療にパラダイムシフトが起き,生物学的製剤(バイオ)とヤヌスキナーゼ(JAK)阻害薬の時代へとすすんでいる.しかし,いまだ根治とはならずにdifficult to treat(D2T)RAが存在し,手・足の小関節に滑膜炎が残存し,指に変形をきたしているRA患者が多く存在している.
指関節では股関節や膝関節に比べて,① 小さな関節で,② 関節周囲の軟部支持組織が複雑で繊細で,③ 関節相互の運動鎖の中でバランスがとられていることなど,人工関節を開発する上で困難となる点が多い1).さらにRAの場合では,① 滑膜炎による軟部支持組織の菲薄化,消失,時に退縮,② 筋腱バランスの不均衡,③ 骨の脆弱性,④ 多関節の障害など,人工関節の耐久性を維持していくうえで不利な条件が重なってくる.しかし,近年では全身の炎症がコントロールされてきており,二次性関節症性変化が加わることで,この不利な条件による影響は少なくなりつつある.
そこで,本稿では中手指節(MP)および近位指節間(PIP)関節の人工関節開発の歴史と,その現況について述べる(図1).
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