Japanese
English
バイオ時代におけるリウマチ性疾患の診療 Ⅳ.手術的治療
3.脊椎
リウマチ頚椎手術の変遷
Declining trend of cervical spine surgery in rheumatoid arthritis patients
山中 卓哉
1
,
井上 泰一
1
,
木村 敦
1
,
竹下 克志
1
T. Yamanaka
1
,
K. Inoue
1
,
A. Kimura
1
,
K. Takeshita
1
1自治医科大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Jichi Medical University, Shimotsuke
キーワード:
biological agent
,
RA
,
cervical spine
Keyword:
biological agent
,
RA
,
cervical spine
pp.138-142
発行日 2023年10月25日
Published Date 2023/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei84_138
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は じ め に
関節リウマチ(RA)は滑膜の炎症と炎症性サイトカインの放出を特徴とする慢性炎症性免疫疾患であり,最終的に関節破壊と障害をもたらす.RAによる頚椎障害は43~88%の頻度で発症し,7~36%で神経障害を呈することが報告されている1).その特徴として上位頚椎病変が多く,環軸関節亜脱臼,垂直性亜脱臼,軸椎下亜脱臼の頻度で発症する複合病変である2~4).これらの変形は脊髄病症状だけでなく,椎骨脳底動脈圧迫による脳梗塞や脳幹の圧迫による急性呼吸不全で突然死を引き起こすことがある.過去の研究において,RA頚椎障害の未治療例のうち,脊髄障害を有する例は4年以内に全例死亡5)し,76%で神経障害が悪化し7年以内に全例死亡6)したと報告されており,生命予後のわるい病態である.2003年以降,RAに対する生物学的製剤導入により一定の対象の患者において寛解という治療目標を達成可能となったが,頚椎障害の自然経過に対して生物学的製剤が与える影響に関する報告は少ない.本研究の目的は当大学における生物学的製剤導入以降のRA頚椎後方固定術数と術式の推移を調査することにより,生物学的製剤がRA頚椎障害の治療に与える影響を検討することである.
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