Japanese
English
骨・軟部腫瘍のマネジメント(その2) Ⅵ.転移性骨腫瘍の治療
3)四肢骨転移への手術的治療
四肢長管骨転移に対する外科的治療
Surgical strategy for bone metastasis of extremities
田中 太晶
1
,
渡邉 裕美子
1
,
出淵 雄哉
1
,
松峯 昭彦
1
T. Tanaka
1
,
Y. Watanabe
1
,
Y. Izubuchi
1
,
A. Matsumine
1
1福井大学整形外科
1Dept. of Orthop. and Rehabilitation Medicine, University of Fukui Faculty of Medical Sciences, Fukui
キーワード:
bone metastasis
,
intramedullary nailing
,
endoprosthetic reconstruction
,
intercalary endoprosthetic reconstruction
Keyword:
bone metastasis
,
intramedullary nailing
,
endoprosthetic reconstruction
,
intercalary endoprosthetic reconstruction
pp.160-164
発行日 2021年10月25日
Published Date 2021/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei80_160
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は じ め に
『がんの統計 ’19』によると,わが国では年間101万人が新たに癌に罹患しており,男性は大腸癌,胃癌,肺癌,女性は乳癌,大腸癌,胃癌がそれぞれ3大癌であり1),癌はcommon diseaseと認識されているが,各癌腫の骨転移の発生頻度についてはいまだ不明である.森脇らが約40年間の剖検例から,乳癌,前立腺癌の75%,肺癌,甲状腺癌では50%の症例で胸椎~腰椎に骨転移が存在することを報告している2)ことから,骨転移は癌とともにcommon diseaseであると考えられる.
また日進月歩の癌治療により,stage Ⅳである骨転移であっても長期予後が望める症例も存在する.今後ますます日常診療で遭遇するであろう転移性骨腫瘍のマネジメントは整形外科が担当することが多いが,治療方針決定の際は決して整形外科単独ではなく,主治療科,放射線治療科,リハビリテーション科,看護師,薬剤師などからなるmultidisciplinary team(多職種,専門家から構成されるチーム)によって介入すべきである.
転移性骨腫瘍の部位は脊椎と四肢骨の二つに大別され,もっとも重要なことは骨関連事象(SRE)の出現を予防することであるが,下肢麻痺,病的骨折,切迫骨折などのSREを認めた場合には手術を選択することが多く,本稿では四肢長管骨転移に対する外科的治療について述べる.術式の選択を行う際には癌腫による違い,患者の予後,手術の目的,骨転移の部位,骨折タイプを考慮する.
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