Japanese
English
骨・軟部腫瘍のマネジメント(その2) Ⅵ.転移性骨腫瘍の治療
2)脊椎転移への手術的治療
脊椎転移に対する手術的治療
Surgical treatment for spinal metastasis
角谷 賢一朗
1
K. Kakutani
1
1神戸大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Kobe University School of Medicine, Kobe
キーワード:
spinal metatasis
,
spine surgery
,
bone management
Keyword:
spinal metatasis
,
spine surgery
,
bone management
pp.154-159
発行日 2021年10月25日
Published Date 2021/10/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei80_154
- 有料閲覧
- Abstract 文献概要
- 1ページ目 Look Inside
- 参考文献 Reference
は じ め に
わが国における “がん” の罹患率は年々上昇し,現在では2人に1人が生涯で一度は “がん” に罹患する.また,分子標的治療薬の普及や抗PD-1抗体に代表される免疫チェックポイント阻害薬の登場など,癌診療の発展により5年生存率は10年前と比べて男女ともに5%程度向上しており,癌とともに生きる癌サバイバーが増加している.これに伴い,進行癌の骨転移の発生頻度は,乳癌65~75%,前立腺癌65~75%,甲状腺癌40~60%,肺癌30~40%にものぼる.
骨転移の制御は原発腫瘍の治療に匹敵するとするbone managementの概念は,眞鍋ら1)によって提唱され,骨転移に特化したcancer boardを設置する施設は全国的に増加している.整形外科主要学会でも,骨転移に関するシンポジウムやパネルディスカッションが開催され,ここ数年で骨転移に対する包括的治療の概念は広く浸透している.骨転移のなかでも,脊椎や骨盤骨の体幹への転移は約80%を占めるとされ,中でも脊椎転移は病的骨折による疼痛や脊髄圧迫による麻痺症状をきたし注意を要する.脊椎転移に対する放射線治療の有効性は広く知られており,その鎮痛効果は60~70%の症例で認められ,20~30%の症例で疼痛は消失するため治療の第一選択である.一方,脊髄圧迫に対する効果については,Patchellらの報告では,放射線治療単独よりも手術との併用の優位性が示されている2).本稿では,脊椎転移に対する手術的治療を紹介する.
© Nankodo Co., Ltd., 2020