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Ⅰ.はじめに
手術用ロボットの定義は複雑である.例えば,近年では内視鏡を保持するための種々の多関節装置が広く使用されるが,関節の動きの制御は術者がスイッチを押すことで達成され機械自体に自立性がないため,手術支援ロボットとは厳密には言わない.本稿では,われわれ脳神経外科医が脊椎脊髄外科を行う際に,これまでに,さらにこれから臨床応用を検討している機械について,広義の「ロボティックス」として主なものを取り上げていきたい.
ロボティックスの脊椎脊髄外科への応用は,近年広く普及してきた手術用ナビゲーション支援システムをはじめ,脊椎固定術におけるスクリュー挿入および後縦隔胸髄腫瘍摘出術などに応用され,その有用性が過去に報告されている7,11,13).特に,脊椎椎弓根などへのスクリュー挿入については,ナビゲーション支援装置,手術ロボットの有効性が検討されており,従来のX線透視システムを用いた挿入方法と比較・検証が行われ報告されている.手術支援ロボットを使用したほうが,より正確で短時間かつ放射線被曝を少なく行うことが可能であるという報告が多い7,10,11).ナビゲーション支援装置,手術支援ロボットによる操作の正確性を低下させる要因も同時に分析されており,それらの解決まで長い時間は要さないと考えられる.特に,椎体に固定用スクリューを挿入することについては,近い将来,手術支援ロボットによる手術手技が確立されるという印象をもつ.そのため,使用頻度が高く,導入費用およびランニングコストが安い手術支援ロボットの開発に,今後各社がしのぎを削り,完成度が高い装置が開発されるであろう.
本稿ではまず,これらナビゲーション支援装置および手術支援ロボットの歴史を振り返りながら,今後の展望および限界点について検討していく.次に,これらの例として,われわれに馴染みが深く理解しやすい,第一世代ナビゲーション支援装置について振り返る.
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