Japanese
English
鏡視下手術の進歩――小関節から脊椎まで Ⅱ.肩関節
肩甲骨関節窩骨折に対する関節鏡補助下整復固定
Arthroscopic-assisted reduction and open fixation for displaced glenoid fractures
辻阪 亮介
1
,
松村 昇
2
R. Tsujisaka
1
,
N. Matsumura
2
1済生会宇都宮病院整形外科
2慶應義塾大学整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Saiseikai Utsunomiya Hospital, Utsunomiya
キーワード:
glenoid fracture
,
Ideberg classification
,
arthroscopy
,
osteosynthesis
Keyword:
glenoid fracture
,
Ideberg classification
,
arthroscopy
,
osteosynthesis
pp.71-75
発行日 2020年4月20日
Published Date 2020/4/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei77_71
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は じ め に
肩甲骨骨折は全骨折の0.4~1%に相当し,関節窩骨折はその10~30%と比較的まれな骨折であるが1,2),肩甲帯の合併損傷を併発することが多く3),しばしば治療に難渋する.また関節窩骨折は肩甲上腕関節の関節内骨折となり,転位が生じていた場合には関節面を正確に整復する必要があるうえ,早期に可動域(ROM)訓練を開始するためには強固な固定が望ましい.
腱板構成筋により覆われている肩甲上腕関節では,直視下に骨折部を確認することが困難である.そのため近年では肩関節鏡視下に骨折を整復し,スーチャーアンカーなどで固定をする術式が報告されている4).ただし骨折の整復操作に難渋することや,骨折部の固定性が得られないことが危惧される.われわれは,肩関節鏡を併用することにより,関節鏡視下に骨折の整復を確認し,直視下に関節包外で骨折の整復および内固定を行っている.これにより正確な関節面の整復と強固な固定が可能となり,確実な骨癒合と早期の機能回復が期待できる.
肩甲骨関節窩骨折の治療においては,関節窩骨折の形態や肩甲帯合併損傷の有無により治療方針を検討する必要がある.本稿では,肩甲骨関節窩骨折の分類として広く用いられているIdeberg分類5)に基づき,各骨折型に対する関節鏡補助下整復固定の手術手技を述べる.
© Nankodo Co., Ltd., 2020