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は じ め に
近年,脊椎手術のアプローチに起因する組織損傷を最小限に抑える低侵襲化の試みが重視されており,正確な診断に基づいた標的治療が脊椎手術のパラダイムシフトをもたらしている.その中でも脊椎内視鏡手術は手技や光学技術の進歩,周辺機器の開発など新たな技術革新が急速に進展し,大きな変化を引き起こしている.脊椎内視鏡手術は1991年にObenchainが腹腔鏡下にL5/S1腰椎椎間板ヘルニアの摘出を最初に報告し1),本邦では前方からアプローチする胸腔鏡視下手術と腹腔鏡視下手術,側方からの後腹膜腔鏡視下手術,さらに後方からの脊椎後方内視鏡下手術が施行可能となっている.現在,もっとも使用されている脊椎内視鏡手術は腰椎椎間板ヘルニア摘出術に対する後方内視鏡手術である.腰椎変性疾患に対する後方内視鏡手術は,主にDestandauやFoleyらにより開発された内視鏡下腰椎椎間板摘出術(micro endoscopic discectomy:MED)と2,3),Kambinらが内視鏡を用いてHijikataの経皮的髄核摘出術を応用した全内視鏡下椎間板摘出術(transforaminal full-endoscopic lumbar discectomy:TELD)が主流である4,5).
TELDは経椎間孔から侵入し経皮的に腰椎椎間板ヘルニアを摘出する最小侵襲脊椎手術として2003年に本邦に導入され,「局所麻酔」,「8mmの皮膚切開」,「背筋への最小侵襲」という低侵襲性と内視鏡下にヘルニアを摘出できる確実性が高い術式として有用である6~8).当科では本法を椎間孔狭窄,外側陥凹狭窄,椎体間固定術に応用し,全内視鏡下脊椎手術(full endoscopic spine surgery:FESS)として良好な成績が得られている.本稿では主に当科で施行している経椎間孔アプローチでの各手術手技と注意点について概説する.
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