Japanese
English
鏡視下手術の進歩――小関節から脊椎まで Ⅱ.肩関節
L字型骨孔作製デバイスを用いた骨孔式鏡視下腱板修復術の実際
Our current procedure of arthroscopic rotator cuff repair using tunneling device
平川 義弘
1
,
間中 智哉
1
,
伊藤 陽一
2
,
市川 耕一
1
,
松田 淑伸
1
,
中村 博亮
1
Y. Hirakawa
1
,
T. Manaka
1
,
Y. Ito
2
,
K. Ichikawa
1
,
Y. Matsuda
1
,
H. Nakamura
1
1大阪市立大学整形外科
2伊藤クリニック大阪ショルダーセンター
1Dept. of Orthop. Surg., Osaka City University Graduate School of Medicine, Osaka
キーワード:
arthroscopic rotator cuff repair
,
Arthro-Tunneler
,
protect anchor
,
clinical result
Keyword:
arthroscopic rotator cuff repair
,
Arthro-Tunneler
,
protect anchor
,
clinical result
pp.51-56
発行日 2020年4月20日
Published Date 2020/4/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei77_51
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は じ め に
鏡視下腱板修復術(arthroscopic rotator cuff repair:ARCR)は,現在,縫合糸アンカーを用いたsingle-row法やdual-row法,suture bridge法が主流であるが,縫合糸アンカー特有の合併症である縫合糸アンカーの脱転や縫合部への応力集中,医療コストなどの問題点がある.
一方,縫合糸アンカーを使用しない腱板修復法として骨孔式腱板修復法がある.骨孔式ARCRは手技が煩雑とされているが,上記の縫合糸アンカー特有の問題点を回避でき,臨床成績,コスト,手術時間など総合的に判断し,現時点では,われわれはArthro-Tunneler(Wright Medical社,Memphis)を用いた骨孔式ARCRを採用している.Arthro-Tunnelerは骨孔式ARCRを簡便に行うことができるデバイスであり,一般的な前外側ポータルから簡便に骨孔をL字状で作製できる(図1).直線状の骨孔式ARCRの際にみられた外側よりさらに遠位に追加ポータルを作製する必要がないため,追加した遠位ポータルでの腋窩神経損傷のリスクがなく,通常の縫合糸アンカーを用いたARCRと同じポータルでの手術が可能である.われわれはこれらの理由で2012年5月から,Arthro-Tunnelerを用いた骨孔式ARCRを採用しており,これまでに少しずつ手術手技を改良してきた.
本稿では,Arthro-Tunnelerを用いた骨孔式ARCRの手術手技の実際,臨床成績,合併症とその対策および文献的な考察を述べる.
© Nankodo Co., Ltd., 2020