Japanese
English
鏡視下手術の進歩――小関節から脊椎まで Ⅶ.足部・足関節
鏡視下足関節固定術
-――最近の知見より
A review of arthroscopic ankle arthrodesis
田中 玄之
1
,
中佐 智幸
2
,
生田 祥也
3
,
安達 伸生
4
H. Tanaka
1
,
T. Nakasa
2
,
Y. Ikuta
3
,
N. Adachi
4
1広島共立病院整形外科
2広島大学病院未来医療センター整形外科
3広島大学病院スポーツ医科学センター
4広島大学大学院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Hiroshima Kyouritsu Hospital, Hiroshima
キーワード:
arthroscopic ankle arthrodesis
,
indication
,
screw position
,
aftertreatment
Keyword:
arthroscopic ankle arthrodesis
,
indication
,
screw position
,
aftertreatment
pp.250-253
発行日 2020年4月20日
Published Date 2020/4/20
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei77_250
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は じ め に
Albertが1879年に最初の足関節固定術を報告して以来,距腿関節の関節固定術は進行期および末期の疼痛を有する変形性足関節症に対して安定した除痛効果と強固な支持脚が得られる方法として選択されてきた.足関節固定の術式の報告は,O’Brien1)らが30種以上,Kennedy2)らが40種以上あると報告している.代表的なアプローチとしては,前方,外側,内側であるが,O’Brien1)は正常な距腿関節の位置関係を得るための障害となる骨棘や果部を切除するためには,付随する軟部組織は十分に剥離する必要があり,そのために切開は大きくなってしまうと述べている.
そこで侵襲を少なくする手術の一つとして関節鏡視下手術があげられる.鏡視下足関節固定術はShneider3)が1983年に報告して以来,欧米で良好な成績が報告されるようになり,本邦でも2000年前後から報告されるようになってきた.切開部位は鏡視のためのポータルとキャニュレイテッドスクリューのための小切開のみであるため,低侵襲で合併症の少ない方法として徐々に普及してきている.成川ら4)は鏡視下足関節固定群と従来の観血法群とで術後のvisual analogue scale(VAS)を比較・検討し,観血法群と比べて鏡視下足関節固定群では術後早期に有意に低値であることを示しており,術後疼痛においても患者負担の少ない方法と考えられる.本邦においても広く施行されるようになってきており,最近の知見について文献などより概説する.
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