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は じ め に
日本の総人口は2015年10月1日現在1億2,711万人で,そのうち65歳以上の高齢者人口は3,392万人であり高齢化率は26.7%と世界最高である1).日本は現在世界トップレベルの長寿国であるが,平均寿命の延伸だけでなく,健康寿命を平均寿命に近づけることが重要である2).
健康寿命の延伸のためには,小児期からの運動器に関する正しいケアが重要となることがある.骨折や捻挫などの強い症状を呈する外傷,障害などは,生徒が自主的に受診し適切な治療を受ける可能性が高い.しかし,運動器疾患の中には無症候性のため適切なタイミングで医療機関受診が行われず治療タイミングを逃してしまうものがある.たとえば思春期特発性側弯症は,痛みなどの症状がなく進行する場合があり,適切なタイミングで治療を受けるためには検診などで発見することが重要となる3).
本邦の身体に対する学校健康診断は1888年に実施された活力検査が始まりとされている.1897年には活力検査が改められ,学生生徒身体検査規定が公布された.1958年には脊椎カリエスの増加を背景に「側弯症にも注意すること」とされ,1994年にはスポーツ障害の増加を背景に「四肢の状態に注意すること」とされたが法的な強制力はなかった.2016年に学校保健安全法が改正・施行され,側弯症に加えて四肢に対する運動器検診が法的強制力をもち,義務化された.当大学では2007年よりつくば市内の一部の小中学校で整形外科医が中心となり運動器検診を行っていたが,2016年の法改正を受けて,イラスト入りのマークシート式問診票を用いた大規模な運動器検診を開始した.
本研究の目的は,2016年度運動器検診結果,マークシート式問診票の感度・特異度,身体所見と運動器疾患との関連性を報告することである.
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