連載 あなたにもできる調査研究—事例をもとに・4
調査計画と問診票の工夫
西 信雄
1
,
福田 英輝
2
1宝塚市立健康センター
2大阪大学大学院医学系研究科社会環境医学講座
pp.486-490
発行日 2000年7月15日
Published Date 2000/7/15
DOI https://doi.org/10.11477/mf.1401902329
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多忙な日常業務の中,住民のニーズ把握,事業の評価など,調査研究が必要とされる機会は絶えず訪れている.調査研究を行うからには意味のあるものを行い,学会発表,さらには論文発表などの方法で,成果を世に問うていきたいものである.
先ごろ「日本公衆衛生雑誌編集の現況と今後の課題」1)が発表された.それによると,同誌の編集方針は,「投稿された原稿に学術論文として未完成な部分があった場合,とくに学術論文を書き慣れておられない公衆衛生の現場の方からの投稿については,できる限り『教育的査読』を行ってその完成度を高めるためのお手伝いをすることにしている」とのことである.しかし,それでも投稿論文が不採用となる場合があり,その理由として,目的・仮説が不明確,概念の定義や基準があいまい,データの代表性に疑問,研究方法・観察方法が不適当,統計解析法が不適切,他要因との交絡性についての検証不足,解析結果の一般性に疑問,など研究のデザインに関する理由が多く挙げられている.これらは,調査研究の計画段階に考慮していなければ,学会発表や論文作成の段階に気がついても手遅れである.良い論文を書こうと思えば「急がば回れ」で,良い計画を立てることが先決である.
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