Japanese
English
整形外科診療における最先端技術 Ⅲ.手術支援
5.その他の手術支援
Electrohydrodynamics現象を利用した画期的な新しいターニケット装置の開発と至適圧力の検討
Development of a new tourniquet device which uses EHD phenomenon and optimum pressure
前田 浩行
1
,
岩瀬 秀明
1
,
金子 和夫
1
,
新井 康久
2
,
三井 和幸
3
,
前田 睦浩
4
H. Maeda
1
,
H. Iwase
1
,
K. Kaneko
1
,
Y. Arai
2
,
K. Mitsui
3
,
M. Maeda
4
1順天堂大学整形外科
2東京都リハビリテーション病院整形外科
3東京電機大学工学部機械工学科
4山本・前田記念会前田病院整形外科
1Dept. of Orthop. Surg., Juntendo University, Tokyo
キーワード:
tourniquet
,
EHD
,
disaster
Keyword:
tourniquet
,
EHD
,
disaster
pp.214-216
発行日 2019年4月25日
Published Date 2019/4/25
DOI https://doi.org/10.15106/j_besei75_214
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は じ め に
救急災害医療現場や整形外科の四肢の手術で,ターニケット装置が頻用される.強い圧力を素早くかけられるターニケット装置を用いることで,整形外科の手術において出血を予防し術野の視野を確保する.あらゆる状態で素早く止血が行え,循環動態を維持するうえで重要な機器である.しかし,ターニケットの駆血圧は以前より明確な設定基準がなく,医師の判断により血圧を基準に行われることが多い.しかし,過剰な圧で駆血することによりターニケット装置による疼痛やしびれによる歩行障害などの運動器合併症が起き,重症例では深部静脈血栓症(DVT)やコンパートメント症候群を引き起こすことが報告されている.
現在のターニケット装置は,空気圧を駆動源としコンプレッサなどが必要となり,装置が大型で持ち運びできず,振動や騒音が発生するなど問題点が多い.そこでわれわれは,絶縁性流体に静電気レベルの高電圧を印加すると電極間にジェット流が発生する電気流体力学(electrohydrodynamics:EHD)現象を利用した(図1),無音で無振動かつ小型の流体駆動圧力発生装置(以下,EHDポンプ)を開発した.本研究では,まずはじめに実際の手術でのターニケット使用による運動器合併症の検討を行った.次にEHDポンプを使用してのラット下肢における駆血実験を行い,ラットにおける駆血後の採血による生化学的評価,駆血の評価に経皮組織酸素飽和度を測定することにより,運動器合併症が生じない至適な駆血圧条件を検討した.
© Nankodo Co., Ltd., 2019