肝臓を診る-肝臓病のキモ
本邦における肝移植治療の現状とトピックス 現況と課題
松野 直徒
1
,
萩原 正弘
,
今井 浩二
,
川原 敏晴
,
古川 博之
1旭川医科大学 外科学講座消化器病態外科分野
キーワード:
肝炎-C型
,
肝硬変-胆汁性
,
肝細胞癌
,
肝臓移植
,
生存率
,
ドナー
,
胆管炎-硬化性
,
リビングドナー
Keyword:
Hepatitis C
,
Carcinoma, Hepatocellular
,
Liver Cirrhosis, Biliary
,
Tissue Donors
,
Cholangitis, Sclerosing
,
Survival Rate
,
Liver Transplantation
,
Living Donors
pp.1187-1191
発行日 2017年6月1日
Published Date 2017/6/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2017264383
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肝移植を必要とする劇症肝炎,肝硬変患者は年間推定1,000人を超えているのに比し,現在,脳死臓器提供者数は60例前後である.人口100万人当たりの臓器提供者数はあまりにも少なく,アジア諸国でも低いレベルにあり,本邦に生まれては助かる命も助からないという悲惨な状況があることを多くの国民は知らない.肝移植における内科医の役割として,適応の判断,移植施設への紹介,肝移植後の内科的治療,さらに,再発性肝疾患から学ぶ必要がある.肝移植後の内科的治療としては,原疾患の再発対策が主になる.C型肝炎やB型肝炎ウイルスのみならず,肝がんの再発,NASH,アルコール性肝障害,原発性胆汁性胆管炎(PBC)などは,内科医の知識と経験が必要である.さらに,正常な移植肝臓に再発する自己免疫性関連肝疾患などは,発症に関与する病態解明につながると考えられきわめて重要な学問領域となっている.
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