海外に行くと言われたら-渡航前後の医学的問題について 帰国後に生じる問題を症候から考える
発熱
森田 芙路子
1
,
平井 由児
1順天堂大学 医学部総合診療科
キーワード:
鑑別診断
,
発熱
,
病歴聴取
,
マラリア
,
感染予防管理
,
重症度指標
,
潜伏期間(病原体)
,
バイタルサイン
,
旅行医学
,
輸入感染症
,
臓器機能障害スコア
Keyword:
Communicable Diseases, Imported
,
Diagnosis, Differential
,
Fever
,
Malaria
,
Medical History Taking
,
Severity of Illness Index
,
Infection Control
,
Infectious Disease Incubation Period
,
Vital Signs
,
Travel Medicine
,
Organ Dysfunction Scores
pp.979-985
発行日 2017年5月1日
Published Date 2017/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2017209344
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渡航後に病院を受診した患者の23.3%は発熱を主訴としている.問診で場所(渡航地)と行動(曝露歴)から罹患しうる感染症をあげ,時間(潜伏期間)で絞り込んで鑑別を行う.「渡航後」のキーワードだけに引っ張られることなく,季節性インフルエンザ,溶連菌を含む咽頭炎,尿路感染症などの一般的な感染症や,薬剤熱や血栓症など非感染症の発熱性疾患も忘れずに考慮する.局所症状のない渡航後発熱で頻度の高い疾患は,マラリア,デング熱,enteric fever(腸チフス・パラチフス)である.重症度の高い疾患か(熱帯熱マラリア,ウイルス性出血熱,敗血症,呼吸器症候群),伝染性のある疾患か(1類・2類感染症ほか)を最初に検討する.
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