発行日 2016年1月1日
Published Date 2016/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2016107861
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Gerstmann-Straeussler-Scheinker病(GSS)は、Creutzfeldt-Jakob病(CJD)と同様にプリオン病の一つであり、CJDと甲状腺抗体との関連については、CJD様症状を呈する橋本脳症の報告が散見されるが、GSSで抗甲状腺抗体陽性を示した症例の報告はみられない。今回著者等は、抗甲状腺抗体陽性を示し、橋本脳症との鑑別に遺伝子検索が有用であった症例を経験したので、文献的考察を加えて報告した。症例は69歳男で、急速に進行する認知症の家族歴を有し、下肢優位の運動失調による歩行障害で発症し、1年後に認知症の急速な進行をきたした。当初は橋本脳症を疑ってステロイド治療を行ったが反応は悪く、橋本脳症は否定的と考えられた。その後、脳波検査で周期性同期性放電の波形を認め、頭部MRIの拡散強調像で皮質を中心に広範な高信号域を認めたことから遺伝性CJDを疑い、遺伝子検索を行った。その結果、髄液14-3-3蛋白が陽性で、プリオン蛋白遺伝子P102Lの変異を認め、GSSと診断した。
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