発行日 2010年8月1日
Published Date 2010/8/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010300070
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
39歳男。発熱、心雑音を主訴とした。胸骨左縁第3、4肋間にLevine III/VI度の漸増漸減性収縮期雑音を聴取した。胸部X線で肺うっ血はなく、心胸郭比51%であった。心電図では洞性頻脈、胸部誘導に高電位差、V4~6にST低下と陰性T波を認めた。動静脈血培養を行ったところ、両者からStreptococcus milleri groupを検出した。経胸壁心エコーでは心室中隔および前壁の非対称性肥厚を認め、肥厚は左室流出路で著しかった。経食道心エコーでは僧帽弁前尖に疣腫様エコーを認め、中等度以上の僧帽弁閉鎖不全を伴っていた。Duke臨床診断基準に基づき感染性心内膜炎と診断し、ampicillinとgentamicinの併用点滴静注を行った。経過は良好で、発熱は消失し、高値を示した白血球数およびCRPも低下した。その後行った心臓カテーテル検査ではBrockenbrough現象陽性で、左室造影ではSellers I度の僧帽弁閉鎖不全を認めた。閉塞性肥大型心筋症と診断し、atenololを投与後に退院とした。なお、未治療の齲蝕を放置していたことが判明したため、歯科治療を指示した。
©Nankodo Co., Ltd., 2010