いま知っておきたい! 内科最新トピックス (第7章)消化管
抗血栓薬服用による消化管障害と出血傾向にどう向き合うべきか
三宅 一昌
1
,
飽本 哲兵
,
植木 信江
1日本医科大学 消化器内科学
キーワード:
Aspirin
,
Dipyridamole
,
Warfarin
,
消化管出血
,
リスク
,
Cilostazol
,
Clopidogrel
,
Proton Pump Inhibitors
,
Dabigatran
Keyword:
Dabigatran
,
Aspirin
,
Dipyridamole
,
Gastrointestinal Hemorrhage
,
Risk
,
Warfarin
,
Proton Pump Inhibitors
,
Cilostazol
,
Clopidogrel
pp.1144-1148
発行日 2015年12月1日
Published Date 2015/12/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2016044853
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
高齢化に伴い,アテローム血栓症に対する抗血小板療法および静脈血栓症,心房細動,心弁膜症などに対する抗凝固療法の必要性は増している.抗血栓薬による抗血栓作用は,顕在性の潰瘍出血だけでなく,わずかな粘膜傷害でも長期的・潜在的消化管出血をきたしうる.服用者の多くが高齢者で基礎疾患を有するため,消化管出血および貧血が身体へ及ぼす影響は大きい.新規経口抗凝固薬(NOAC)による頭蓋内出血のリスクはwarfarinに比べ,きわめて低く,かつ脳卒中/全身性塞栓症の発症抑制効果における非劣性以上の結果が示されている.一方,消化管出血の年間発症率においてdabigatranとrivaroxabanは,warfarinに比べ有意に高率である.近年,より高い抗血栓効果を求めて,抗血栓薬を組み合わせる機会が増加している.消化管出血のリスクを高めるため,予防治療の必要性は増す.上部消化管障害の治療としては,まず適正な服薬指導と,粘膜刺激の少ない食事が望まれる.必要に応じて,プロトンポンプ阻害薬(PPI)による酸分泌抑制療法を行う.しかしながら,抗血栓薬を代表とする薬剤起因性消化管障害は,上部だけでなく下部消化管にも発症するため,より繊細な予防治療戦略が求められるが,今後の課題である.
©Nankodo Co., Ltd., 2015