高血圧症 臨床の要点-JSH2014を踏まえたエキスパートからの提言 降圧療法 どの降圧薬で,どこまで下げるか
脳血管障害合併高血圧
棚橋 紀夫
1
1埼玉医大国際医療センター 脳卒中内科
キーワード:
Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors
,
Calcium Channel Blockers
,
クモ膜下出血
,
血圧
,
高血圧
,
抗血栓剤
,
脳血管障害
,
脳梗塞
,
脳出血
,
薬物相互作用
,
利尿剤
,
Angiotensin II Type 1 Receptor Blockers
,
ラクナ梗塞
Keyword:
Angiotensin-Converting Enzyme Inhibitors
,
Blood Pressure
,
Calcium Channel Blockers
,
Cerebrovascular Disorders
,
Drug Interactions
,
Diuretics
,
Fibrinolytic Agents
,
Hypertension
,
Subarachnoid Hemorrhage
,
Brain Infarction
,
Intracranial Hemorrhages
,
Angiotensin II Type 1 Receptor Blockers
,
Stroke, Lacunar
pp.445-449
発行日 2014年9月1日
Published Date 2014/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2015034358
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脳血管障害を合併する高血圧患者では,臨床病型,発症後の時間,重症度,年齢,抗血栓薬の使用状況などを考慮し,降圧対象,降圧目標を決める.脳梗塞の超急性期で血栓溶解療法を行った患者では治療後24時間以内は180/105mmHg未満にコントロールする.脳梗塞で血栓溶解療法の対象とならない発症24時間以内の超急性期,急性期(発症2週以内)では,収縮期血圧220mmHg,拡張期血圧120mmHgを超える場合,降圧前値の85~90%を目安とする.脳出血の超急性期,急性期,亜急性期では収縮期血圧180mmHgまたは平均血圧130mmHgを超える場合に降圧対象となる.降圧の程度は,前値の80%を目安とする.ただし収縮期血圧150~180mmHgの場合,収縮期血圧140mmHg前後を目指す.発症から脳動脈瘤処置までの破裂脳動脈瘤によるくも膜下出血では,収縮期血圧160mmHgを超える場合に,前値の80%を目安に降圧する.脳血管障害超急性期に推奨される降圧薬は,nicardipine,diltiazem,nitroglycerinやnitroprussideの微量点滴静注などである.急性期では,可能な症例は経口降圧薬に変更する.脳血管障害の慢性期(発症1ヵ月以降)では,脳梗塞,脳出血,くも膜下出血ともに140/90mmHg未満を降圧目標とする.両側頸動脈高度狭窄,脳主幹動脈閉塞ではとくに下げすぎに注意する.ラクナ梗塞,抗血栓薬服用患者,脳出血,くも膜下出血では可能であればさらに低いレベル(130/80mmHg未満)を目指す.脳血管障害患者に推奨される経口降圧薬は,Ca拮抗薬,ACE阻害薬,ARB,利尿薬である.
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