発行日 2014年5月1日
Published Date 2014/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2014195242
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30歳男。突然頭痛、動悸、発汗を自覚した。パニック障害の診断でカウンセリングを継続していた。著明な全身倦怠感・動悸を自覚し、救急搬送された。病院到着後より意識障害をきたし、心電図で非持続性心室頻拍、心エコーでびまん性の壁運動低下を認めた。血圧低下のため、大動脈内バルーンパンピングを開始したが改善なく転院となった。転院後、心エコーで逆たこつぼ型左室壁運動異常を認め、経皮的心肺補助法を開始したが、きわめて不安定であった。アドレナリンとノルアドレナリンの著明高値が判明し、CTで左副腎腫瘤を認めた。褐色細胞腫を疑った。腹部CTでは、左副腎に大きさ30mmで類円形をした造影効果に乏しい低吸収腫瘤を認め、腫瘍摘出術を施行した。病理組織検査では、中心壊死および出血を伴うクロモグラニンA陽性の腫瘍細胞を認め、褐色細胞腫と診断した。術後は薬物治療の必要なく血圧は安定し、腫瘍再発も認めていない。
©Nankodo Co., Ltd., 2014