発行日 2007年1月1日
Published Date 2007/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2007160143
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症例は21歳の女性で、誘因のない左側腹部痛、嘔気、頭痛、動悸が出現したがすぐに軽快したために放置していたところ、約2ヵ月後に同様の症状が出現したことを契機に近医にて腹部CTなどの検査にて無症候性副腎腫瘤として経過観察された。約10ヵ月後に腹痛が生じた際に腫瘤の増大を認め、当院に紹介された。入院予約を行った数日後に同様の症状と高血圧を急激に発症し、救急車にて来院した。血液検査及びCT所見から腫瘍内出血を考えて緊急入院となった。腹膜刺激症状はなく、血中ノルアドレナリンが14508pg/mlと著明に上昇していた。造影MRIでもT2強調画像にて腫瘍に出血を疑わせる著明な高信号部分を伴う多房性腫瘤を認めた。MIBGシンチでは左副腎に限局した集積亢進像を認め、腫瘤腹側の集積欠損は出血と考えられた。入院後は自然に症状が改善し、褐色細胞腫との診断で摘出術を行い、病理組織学的に診断を確定し、その後の経過は順調である。
©Nankodo Co., Ltd., 2007