発行日 2011年10月1日
Published Date 2011/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012020793
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69歳男。65歳時より耐糖能異常で、今回は口渇、多尿、体重減少、頻脈を自覚し、近医にて随時血糖値およびHbA1cの上昇、腹部造影CTで左副腎腫瘍を指摘され精査加療目的に入院となった。尿中ケトン体は陰性であったが、HbA1cは10.2%まで上昇していた。著明な内因性インスリン分泌能低下は認めず、グルカゴン負荷試験での6分後CPRは3.03ng/mlと著しい低下は認めないため、2型糖尿病の悪化と考えられた。腹部MRIで左腎に4.6cmの充実性腫瘍を認め、対側の萎縮はなく、各種内分泌検査より、非機能性副腎偶発腫瘍と診断した。各種腫瘍マーカーは陰性であったが、サイズが大きいため強化インスリン療法を行い、良好な血糖コントロールが得られたため、腹腔鏡下左副腎摘除術を施行した。肉眼所見では、灰白色充実性腫瘍を認め、端部に健常副腎が認められた。病理所見では、副腎悪性リンパ腫でCD20陽性、CD3陰性で、転移は認めず骨髄所見も悪性所見は認めず、sIL-2Rも基準値範囲内であり、びまん性大細胞型B細胞性リンパ腫(diffuse large B cell lymphoma)stage1Eと診断した。術後化学療法としてrituximab併用CHOP療法を施行中である。
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