発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2014177020
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
74歳男。約3年前にS8肝細胞癌にラジオ波焼灼術(RFA)が施行されたが、翌年のCTでは肝右葉S5の腫瘍再発と右門脈腫瘍栓が認められた。ウイルスマーカーはHCV抗体が陽性、腫瘍マーカーはAFPとPIVKA-IIが著明に上昇していたほか、トランスアミラーゼおよび胆道系酵素の軽度上昇もみられた。だが、ビリルビン値やアルブミン値は正常で肝予備能は保たれていた。以上より、リザーバーを留置の上、low dose FP(5FU+CDDP)療法を施行し、約2クール後に1週間毎の投薬を繰り返した。1年後、肝細胞は縮小し、CT画像上でもviable tumorは認めず、腫瘍マーカーも低下した。しかし、リザーバー留置部位の損傷によりリザーバーを抜去したところ、約3ヵ月経過で再発が認められ、肝動脈化学塞栓療法(TACE:ミリプラ使用)を追加するも腫瘍マーカーは再上昇し、再度、左リザーバー留置の上でlow dose FP療法を開始した。だが、2度目のcisplatin動注開始から5分でショック状態を呈し、直ちにcisplatinを中止後、ステロイド投与を行なうことで30分経過でようやくショック状態は改善された。以後、これを踏まえて、cisplatinの使用を控え、5FU単独動注療法や5FU動注療法+peginterferon(FAIT)が行われたが効果なく、最終的に患者は腫瘍の増悪ともに再発から約2年4ヵ月目に死亡となった。
©Nankodo Co., Ltd., 2014