発行日 2014年4月1日
Published Date 2014/4/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2014177021
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28歳男。約4年前に交通事故による右下腿前脛骨部挫滅外傷の既往があった。今回、右下腿伸側瘢痕部が著明に腫脹したほか、右下腿前脛骨部には敷石状に扁平隆起した紅斑を認め形成外科を受診、pretibial myxedema(PTM)と診断後、著者らの内科へ紹介となった。所見では4年前にBasedow病を発症し甲状腺亜全摘を受けるも、1年5ヵ月目からはL-T4の内服を自己中断していた、このことからTSH、FT3、FT4の上昇、潜在性甲状腺機能低下症の増悪ほか、TSAbとTRAbの高値、抗HTG Abと抗TPO Abの陽性がみられた。一方、眼窩MRIではT1強調像で両眼の眼球突出、外眼筋の腫大、両眼窩内の脂肪織増生が認められた。また、右下腿前脛部の皮膚生検ではHE染色で著しい真皮乳頭層の浮腫が認められ、あわせてalcian blue染色陽性、hyaluronidase treatmentにsensitiveで膠原線維間に沈着するムチンが認められた。以上より、本症例はPTMと診断され、L-T4の補充を再開するとともに、局所にステロイド外用薬塗布が行われた。その結果、TSH低下と右下腿周囲の縮小傾向に加え、扁平隆起した紅斑局面の改が認められた。尚、患者はその後は経過良好で転勤となり転医となった。
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