発行日 2014年1月1日
Published Date 2014/1/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2014106937
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60歳女。全身の倦怠感および呼吸困難と胸部圧迫感にて近医を受診、頸静脈怒張、血圧低下が認められた。X線では心陰影の拡大と右上肺野に腫瘤影および左胸水が認められ、胸部CTでは大量の心嚢液貯留と両側縦隔リンパ節腫大ほか、左上葉、リンパ節に複数の石灰化した結節影が認められた。心エコーにより心タンポナーデと診断され、心嚢穿刺にて500mLの血性排液を採取し、症状の改善が認められたがPerformance Status(PS)は4で、著者らの施設へ紹介となった。以後、心嚢ドレナージを心エコー・透視下に施行し、血性排液合計1160mLが得られたが、翌日に排液は消褪した。そこで、次いで左胸腔穿刺を行い、血性排液650mLを排除すると、呼吸困難と胸部圧迫感は軽減しPS2となった。一方、細胞診を行なったところ、心嚢液、胸水ともにClass Vで、乳頭状集塊や腺腔配列を呈していることから腺癌と病理診断された。更に骨シンチでは多発骨転移を認め、cT2aN3M1b IV期であった。以上より、治療としてerlotinibの投与を開始した結果、エクソン21のL858R EGFR遺伝子変異が認められ、数日で自覚症状は改善し、患者は内服16日目に退院となった。
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