甲状腺疾患 診療スタンダードと新たなチャレンジ
甲状腺機能異常と妊娠・出産 挙児希望を支援するために
百渓 尚子
1
,
岩間 彩香
1東京都予防医学協会 内分泌科
キーワード:
Thiamazole
,
Thyroxine
,
抗甲状腺剤
,
甲状腺機能低下症
,
Graves病
,
Thyrotropin Receptors
,
妊娠合併症
,
出産
,
Thyrotropin-Binding Inhibitory Immunoglobulin
Keyword:
Graves Disease
,
Hypothyroidism
,
Methimazole
,
Pregnancy Complications
,
Receptors, Thyrotropin
,
Antithyroid Agents
,
Thyroxine
,
Parturition
,
Thyrotropin-Binding Inhibitory Immunoglobulin
pp.876-881
発行日 2007年11月1日
Published Date 2007/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2008056078
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甲状腺疾患に伴う妊娠・出産の問題の大半は、甲状腺機能の是正で回避できる。バセドウ病では、母体への至適治療が胎児に適切といえない場合がある。奇形発生の観点から、ことに妊娠8週まではthiamazoleの使用を避けることが勧められるが、個々の患者の背景、他剤の利点と弱点も考慮して決定する。抗甲状腺薬は、妊娠中期以降FT4が非妊時の正常上限かやや上になるよう投与すると、胎児の甲状腺機能が低下しない。TRAbが強陽性の術後、131I治療後寛解例では胎児に、また抗甲状腺薬治療の場合も出産まで強陽性の例で新生児に甲状腺機能亢進症が発症しうる。乳児の甲状腺機能に影響しない抗甲状腺薬の使用量がある。甲状腺機能低下症では、母体にとって最適な治療が児にも利益になる。
©Nankodo Co., Ltd., 2007