発行日 2013年2月1日
Published Date 2013/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013133394
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70歳女。数年前より易疲労感を自覚していたが放置していた。今回、感冒症状で市販感冒薬を内服したが改善せず、精査目的に他院に入院した。Holter心電図で、洞徐脈および洞停止を認めたため、洞不全症候群(Rubenstein分類II型)と診断され、ペースメーカ植え込みの適応とされ、当院の循環内科に転院となったが、低Na血症が判明したため当科紹介となった。低Na血症が進行し、尿中Na排泄は抑制されず、空腹時低血糖も認め、正球性貧血および軽度の肝機能異常を認めた。洞徐脈、臨床症状、低Na血症および低血糖より、副腎不全が疑われた。ヒドロコルチゾンの静脈内投与を開始したところ、食欲は回復し、低Na血症も徐々に改善し、低血糖も消失した。第5病日に治療前のホルモン値が判明し、コルチゾール、FT4が低値にもかかわらず、ACTH、TSHの上昇は認めなかった。下垂体MRIにてempty sellaを確認し、病歴から感冒を契機とした下垂体機能低下症の増悪と診断し、甲状腺ホルモンの補充を開始した。一時的にせん妄を認めステロイドをベタメタゾン筋注に変更した。その後、せん妄の改善に伴いヒドロコルチゾンの内服へ変更し、第29病日に洞機能不全は消失した。
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