発行日 2012年10月1日
Published Date 2012/10/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013081441
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47歳女。15歳より片頭痛を自覚し市販の鎮痛薬を服用していた。44歳頃、歩行時のふらつきが出現、47歳より歩行障害が増悪したため受診した。意識は清明で認知機能の低下はないが小脳性構音障害、左右水平注視方向性眼振を認め、四肢の測定障害・巧緻運動障害、両側Troemner反射が陽性、腱反射は四肢で亢進し失調性歩行を認めた。Clは上昇し、血液ガス分析でanion gapの低値を認めた。頭部MRIでは両側小脳半球と脳幹の萎縮、99mTc-ECD脳血流SPECTでは、小脳の集積低下を認めた。再度の問診にて40歳頃よりブロムワレリル尿素含有のナロンエースの服用歴が判明した。血清ブロム濃度を測定したところ、異常高値を認め、ナロンエースの服薬を中止した。片頭痛に対してはlomerizine hydrochlorideとsumatriptanに変更した。血清Cl値は正常化、血清ブロム濃度も減少したが、小脳性運動失調と錐体路症状の改善は認められず、小脳性運動失調は脊髄小脳性症による可能性が考えられた。
©Nankodo Co., Ltd., 2012