発行日 2012年11月1日
Published Date 2012/11/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2013083887
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60歳女。来院10年前よりサルコイドーシスと診断され対症的に治療されていたが1年後には肝機能障害を認めた。腹腔鏡下生検にて慢性非化膿性胆管炎の所見で抗ミトコンドリアM2抗体の陽性を認めた。原発性胆汁性肝硬変(PBC)と診断され、ウルソデオキシコール酸(UDCA)にて肝機能は正常化した。2ヵ月前に食欲低下、悪心が出現し自己免疫性溶血性貧血(AIHA)が疑われ精査加療目的に紹介受診した。心電図で完全右脚ブロック、心エコーで下壁の菲薄化を認め、造影心臓MRIで下後壁の菲薄化と外層優位の遅延造影を認めたが、心臓CTで冠動脈病変は認めなかった。貧血、間接ビリルビン上昇、ハプトグロビン低下および直接・間接クームス試験で陽性を認めた。AIHAと診断し、PSLを開始したところ約2週間で正常化し、PSLを漸減し退院となった。PBCはUDCAにて寛解状態で、サルコイドーシスはPSL投与前後で変化は認めず、完全右脚ブロックに関しては心サルコイドージスを疑い、既にステロイド投与を行った。父親にGraves病とPBCの既往があり、自己免疫性疾患を生じやすい遺伝的な素地の可能性があると考えられた。
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