発行日 2012年5月1日
Published Date 2012/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012264964
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78歳女。76歳時より皮膚サルコイドーシスの既往があった。今回、下血、下腹部痛、発熱の出現で消化管出血が疑われ緊急入院となった。腹部に軽度自発痛・圧痛、両側下腿浮腫が出現し、貧血と白血球・CRPの軽度上昇、LDHの上昇、血清鉄は低値であったが、フェリチンは若干高値で、sIL-2Rの上昇を認めた。腹部CTでは、回盲部周辺の脂肪織の混濁とDouglas窩の腹水貯留を認めたため、消化管穿孔が疑われて緊急開腹術が施行された。小腸に複数の結節性病変と1病変の破裂および穿孔を認めて同部位の切除術を行った。病理所見より、悪性リンパ腫(びまん性大細胞性B細胞性リンパ腫)と診断された。縦隔、気管分岐部、鼠径部にもリンパ節の腫大を認め、THP-COP療法6コース施行した。胸水は徐々に減少し、リンパ節腫脹は一部残存するも縮小傾向となり、腸管病変の再出現も認めず部分寛解となった。悪性リンパ腫の再燃やサルコイドーシスの増悪もなく、経過良好でリハビリ病院に転院した。
©Nankodo Co., Ltd., 2012