発行日 2012年5月1日
Published Date 2012/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012264965
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37歳男。中学時代より労作時の胸痛を自覚し医療機関を受診したが、異常なしとされ経過観察されていた。バドミントン中に意識消失し、AEDを用いた心肺蘇生後2分に救急隊によりバイスタンダーCPRが行われ、心拍再開・自発呼吸を認めた。意識昏睡、軽度の肝障害、高血糖値、軽度の凝固異常を認め、血液検査、胸部X線、頭部・胸部~骨盤CTおよび心電図を施行したが、心肺停止の原因特定はできなかった。心臓カテーテル検査で左冠動脈が左バルサルバに存在せず、左冠動脈前下行枝・回旋枝へ側副血行路がある巨大な右冠動脈を認めたため、Bland-White-Garland症候群(BWG症候群)を疑った。CHDFを装着し、来院3時間後より脳低体温療法を行ったところ、第3病日には開眼し、手足は自由に動かせないが受け答えは可能になった。第4病日には意識清明となり、四肢の麻痺も消失した。第7病日の心臓CTで肺動脈から分岐する左冠動脈を確認し、BWG症候群と診断した。虚血による発症と判断し、aspirin、isosorbide dinitrate、losartanを開始し、不整脈にamiodaroneを投与した。低酸素脳症を考慮してリハビリテーションを開始した。高次機能評価による短期記憶の重度障害は、第13病日には軽度障害まで改善し、第14病日に退院した。
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