発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010305931
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67歳女。胸痛と呼吸困難感を主訴に受診した。心嚢液と胸水貯留を認め心タンポナーデによる心不全と診断したが、心嚢液と胸水の細胞診でリンパ腫が疑われた。表在リンパ節は触知せず、皮膚および神経学的に異常は認めず、軽度正球性正色素性貧血、CRPの軽度上昇、可溶性インターロイキシ2受容体(sIL-2R)の上昇を認め、HCVとHIV抗体は陰性、EBV抗体は既感染パターンを示した。CTで心嚢液と左胸水を認めたが、他部位に腫瘤形成やリンパ節腫大、肝脾腫は認めず、胸水細胞診は免疫染色でCD20陽性、細胞成分の表面形質はCD19+、20+、45+、HLA-DR+、Southern解析でc-myc遺伝子再構成、PCR法で免疫グロブリン重鎖遺伝子再構成を確認した。EBER陰性、HHV-8DNA陰性でsIL-2R値は著明に上昇した。消化管と骨髄検査、ガリウムシンチグラフィーで心嚢液と左胸水以外の病変は認めず、HHV-8陰性primary effusion lymphoma(PEL)様リンパ腫と診断した。rituximab併用THP-COP療法の施行で完全寛解を得たが脳浸潤によるリンパ腫再発で左片麻痺と左顔面神経麻痺が出現し、局所放射線照射で再度寛解し左片麻痺は改善した。
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