肝癌診療の最前線-知っておきたい診断・治療の新情報
治療の実際 脳死肝移植の現状と展望
市田 隆文
1
,
玄田 拓哉
,
平野 克治
1順天堂大学医学部附属静岡病院 消化器内科
キーワード:
肝細胞癌
,
肝臓移植
,
生存率
,
脳死
,
治療成績
Keyword:
Brain Death
,
Carcinoma, Hepatocellular
,
Survival Rate
,
Liver Transplantation
,
Treatment Outcome
pp.444-448
発行日 2012年3月1日
Published Date 2012/3/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2012175482
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・肝細胞癌に対する究極の治療は肝移植である。その理由は、癌とともに発癌母体をすべて正常の肝臓に置換し、通常の局所療法後の再発を考慮しなくてすむためである。しかし、これはドナー肝臓が豊富に提供されるという非現実的なことであり、現実的にはミラノ基準を遵守した肝移植が推奨されている。なぜならば、ミラノ基準を逸脱した肝細胞癌では高率に再発が認められるという医学的事実があるからである。・法改正後、わが国では脳死肝移植は平均1週間に1例のドナー提供がある。非代償性肝硬変に合併した肝細胞癌はある頻度で脳死肝移植を受けているが、肝細胞癌としての適応はいまだなされていない。今後、われわれが行わなければならないことはミラノ基準よりも正確なバイオマーカーの確立である。
©Nankodo Co., Ltd., 2012