慢性腎臓病 CKDの新たなパラダイムを求めて
CKDの注目すべき病因と病態 腎臓の加齢変化とCKDにおける意義 腎性老化renal senescence仮説
柏原 直樹
1
,
佐藤 稔
1川崎医科大学 腎臓・高血圧内科
キーワード:
加齢
,
糸球体濾過率
,
慢性腎臓病
,
Klotho Protein
Keyword:
Aging
,
Glomerular Filtration Rate
,
Renal Insufficiency, Chronic
,
Klotho Protein
pp.241-245
発行日 2011年2月1日
Published Date 2011/2/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2011140404
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・加齢に伴い腎臓は機能的にも形態的にも変化(加齢変化)を示す。・すなわち小動脈の内腔狭小化、糸球体硬化、尿細管障害が加齢に従って認められる。・実験動物では傍尿細管毛細血管の血管新生能が、加齢とともに低下することも示されている。・尿細管上皮細胞のミトコンドリア障害が血管新生能低下に関与することも示唆されている。・一方、腎臓では老化との関連が示唆されるklotho蛋白が産生されることが発見された。・進行した慢性腎臓病(CKD)では尿細管障害も進行しており、klotho蛋白産生が低下することも示されている。・CKDでは寿命・加齢変化と関係の深いklotho蛋白の不足によって、個体レベルで老化に類似した諸症状が出現するという、いわば「腎性老化」と呼ぶべき病態が出現している可能性がある。
©Nankodo Co., Ltd., 2011