慢性腎臓病と老化-Phosphate connection
腎性老化 Renal senescence
柏原 直樹
1
,
佐藤 稔
1川崎医科大学 腎臓・高血圧内科
キーワード:
加齢
,
糸球体濾過率
,
腎臓
,
腎臓疾患
,
尿細管
,
肥大
,
慢性腎臓病
,
klothoマウス
,
Klotho Protein
,
腎線維症
Keyword:
Aging
,
Kidney Diseases
,
Kidney Tubules
,
Hypertrophy
,
Kidney
,
Glomerular Filtration Rate
,
Renal Insufficiency, Chronic
,
Klotho Protein
pp.7-16
発行日 2015年1月1日
Published Date 2015/1/1
DOI https://doi.org/10.19020/J02201.2015127394
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klotho変異マウスが示す老化症状は慢性腎不全患者の諸症状と類似する.腎で産生される内因性物質であるKlotho蛋白の減少~欠如により腎不全患者における早老症候群(premature-aging syndrome)が招来されるのではないかと考えるに至った(腎性老化:renal senescence).Klotho蛋白はFGF受容体と複合体を形成し,FGF23によるリン排泄に必須の役割を果たす.Klotho減少により生じる高リン血症あるいはリンとCa,fetuin Aで形成されるnano-particle(calciprotein particles;CPPs)の増加が老化症状出現と関係することが示された.一方で分泌型Klotho蛋白はTGF-βやWnt経路活性化を抑制的に制御しており,この抑制解除により臓器線維化が進行することも示されている.CKDは大別すると二つの機序で個体老化を加速すると考えられる.すなわち老化促進因子の蓄積(リン,CPPs,尿毒素等)と抗老化因子(Klotho等)の欠乏である.FGF23-Klotho-リン代謝系は,腎性老化の病態形成において中心的な役割を果たしている.健康寿命延伸のためには,腎保護に留意する必要があろう.
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