虚血性心疾患の最近の話題 虚血を見逃さない臨床から分子生物学まで
冠動脈インターベンションの課題と展望 心拍動下、心停止下冠動脈バイパス術の利点と欠点 日本人はどちらを選択すべきか
稲葉 博隆
1
1順天堂大学 心臓血管外科
キーワード:
冠動脈疾患
,
人工心肺
,
心肺バイパス術
,
冠状動脈バイパス術
,
予後
,
多施設共同研究
,
ランダム化比較試験
,
リスク評価
,
非体外循環下冠状動脈バイパス術
,
経皮的冠状動脈インターベンション
,
標準化
Keyword:
Coronary Artery Bypass
,
Cardiopulmonary Bypass
,
Coronary Disease
,
Heart-Lung Machine
,
Prognosis
,
Reference Standards
,
Randomized Controlled Trials as Topic
,
Multicenter Studies as Topic
,
Risk Assessment
,
Coronary Artery Bypass, Off-Pump
,
Percutaneous Coronary Intervention
pp.463-469
発行日 2010年9月1日
Published Date 2010/9/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010305915
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1990年代、人工心肺使用による合併症の頻度を低下できるとの期待から、心拍動下冠動脈バイパス術(OPCAB)が行われるようになった。当初、人工心肺を使用する従来の冠動脈バイパス術(CABG)に対する、OPCABの優位性が数多く報告された。しかし最近、無作為化試験等に、とくに長期予後において否定的な報告もみられるようになった。無作為化試験の結果や、OPCAB経験の豊富な施設からの報告の検討から、OPCABは、手術リスクの高い症例においてとくに有効性が高いと考えられる。一方、リスクの低い群においては、OPCABとCABGには短期予後の有意差はなく、かつ長期についてはCABGの予後がよりよい可能性がある。この結果を考慮したうえで、術式の検討を行う必要があると考える。
©Nankodo Co., Ltd., 2010