発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010296342
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85歳男。患者は眩暈を主訴に受診となり、両側椎骨・内頸動脈狭窄症、椎骨脳底動脈循環不全、多発性脳梗塞と診断された。近医で経過観察中であったが、その後、30秒~1分間持続する粗大で左上肢近位優位なバリズム様の不随意運動が時折みられるようになった。症状は臥位では起こらず、入浴後や歩行時に起こることが多く、左下肢全体にも同様の不随意運動を認めることがあった。出現頻度は増加し、左半身の脱力を伴うようになったため、脳波検査を行ったところ、てんかんは認められなかったが、SPECTでは右大脳半球に高度な血流低下がみられ、経過を含めて、本症例は血行力学的な血流低下が関連しているlimb shaking TIAと診断された。治療は近医で投与されていたclopidogrel、dipyridamole等を継続内服させ、不随意運動の経過観察を行い、あわせてリハビリを開始した結果、入院中に数分間の左下肢脱力を2回自覚したものの、limb shakingは認められず、目下もlimb shakingは出現していない。
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