発行日 2010年7月1日
Published Date 2010/7/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010296341
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41歳男。患者は19歳時に交通外傷で前頭蓋底骨折、脳挫傷で開頭手術を受けた。そして18年後、肺炎球菌性髄膜炎を発症し、他院で加療されるも、明らかな後遺症や認知機能低下はなかった。しかし、更に22年後の2007年7月および2008年4月に肺炎球菌性髄膜炎を発症し、短期間に反復したことから外科的治療が必要と判断した。はじめ発症原因としては髄液漏の病態が疑われたが、髄液漏は証明されず、頭蓋内圧を上昇させる誘因や免疫不全を示唆する所見も認められなかった。そこで、頭部CTを行ったところ、頭蓋底部の骨折と骨欠損像が認められ、MRIでは同部位に副鼻腔内への脳実質の陥頓が証明された。以上より、本症例は初回髄膜炎を契機に陥頓した脳組織に壊死が起こり、脆弱化したことで髄膜炎を繰返したと推測された。治療として前頭蓋底部修復術を行った結果、目下、術後1年半以上経過で再発は認められていない。尚、外傷10年以上経過後、再発性髄膜炎を発症した症例は22例検索できたが、髄液鼻漏を認めなかったのは2例であった。
©Nankodo Co., Ltd., 2010