発行日 2010年5月1日
Published Date 2010/5/1
DOI https://doi.org/10.15106/J00974.2010211413
- 有料閲覧
- 文献概要
- 1ページ目
71歳男。患者は肝腫瘤の精査を主訴とした。顔面・手足に2mm前後の角化性丘疹が多発し、歯肉や口腔粘膜に白色小隆起が散在していた。左前腕・腹部・右足背には弾性硬の皮下腫瘤がみられ、血液検査で抗TPO抗体、抗サイログロブリン抗体の高値が認められた。上部消化管内視鏡では食道に多発する5mm前後のび漫性の白色小隆起がみられ、病理組織像はグリコーゲンアカントーシスで、胃・十二指腸内にはポリープや粘膜下腫瘤が散在していた。一方、下部消化管内視鏡では下行結腸、S状結腸にポリープが認められ、病理組織像は過形成性変化であった。画像検査および肝腫瘍生検から肝腫瘤の確定診断には至らず、血管腫の可能性が考えられ、また甲状腺は血液、画像所見から橋本病および腺腫様甲状腺と考えられた。以上、本症例は最終的にNational Comprehensive Cancer Networkの診断基準を満たす特徴的な皮膚粘膜所見により、消化管ポリポーシス、橋本病、腺腫様甲状腺、動静脈瘻等を合併したCowden病と診断された。
©Nankodo Co., Ltd., 2010